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泌尿器の病気

慢性腎臓病(CKD)

犬・猫の腎臓の病気で最も多いのが慢性腎臓病(CKD)です。診断技術の進歩によって早期発見が可能になった一方で、慢性腎臓病を発症するわんちゃん猫ちゃんは年々増加しており、死因の大きな割合を占めています。

【症状】

水をたくさん飲み、おしっこをたくさんする「多飲多尿」が初期の代表的な症状です。(ただし、猫ちゃんの場合には腎臓病がかなり進行するまで多飲多尿がみられないこともあります。)腎臓病が進行すると、やせてくる、毛艶が悪くなる、などの見た目の変化に加え、食欲不振、吐き気、嘔吐などの消化器症状、筋肉の衰え、貧血などが見られることもあります。

【診断】

血液検査で腎数値(BUN、クレアチニン、SDMAなど)が上昇している場合に腎臓病を疑います。しかし、“腎数値の上昇=慢性腎臓病”ではありません。腎数値が上がる他の病気を否定することが重要です。尿検査、レントゲン検査、超音波検査などを行い、総合的に診断を進めていきます。慢性腎臓病の定義は「腎臓の機能または構造の異常が3ヶ月以上にわたって存在すること」です。そのため一回の検査では確定診断ができず、繰り返しの検査が必要な場合もあります。

【治療】

慢性腎臓病の場合、一度壊れた腎臓の機能は基本的に再生しません。そのため根本的な治療は難しい場合がほとんどです。実際の治療の目的は、①腎機能のさらなる低下を遅らせること、②症状を抑えること、が中心となります。

・食餌療法

慢性腎臓病の進行を遅らせ余命を伸ばすことが証明されている唯一の治療法が食餌療法です。原則的にすべての慢性腎臓病の患者さんに食餌療法が推奨されます。(ただし、早期の腎臓病の場合、従来の腎臓病用食餌療法食を与えるとかえって悪影響がある可能性も指摘されています。)当院では常時10種類以上の療法食・サプリメントを用意しており、それぞれの患者様に最も適したものを提案します。

・タンパク尿の治療

タンパク尿は慢性腎臓病の進行を早めると考えられています。アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)などの内服薬を用いて治療をしていきます。タンパク尿の有無・程度は尿検査の「尿タンパク・クレアチニン比」という項目で判断します。

・高血圧の管理

腎臓病は高血圧症の原因となることがあります。また、 高血圧はそれ自体が問題であるだけでなく、タンパク尿を助長し腎臓病をさらに進行させる要因の一つと考えられています。高血圧がある場合は血圧を下げる薬を用いて適切にコントロールをしていきます。

・リンの管理

血液検査の項目「無機リン(IP)」を一定の範囲にコントロールすることを目標とします。リンの過剰は腎性二次性上皮小体機能亢進症という合併症をきたし、腎臓病をさらに進行させてしまいます。一般に食餌療法食はリンが制限されていますが、それだけでは管理が難しい場合には各種のリン吸着剤を使用します。最近、リン代謝異常の早期マーカーとして「FGF-23」という検査が実用化されています。

・症状を抑えるための治療

腎臓病が進行すると尿毒症と呼ばれる様々な症状があらわれてきます。吐き気・嘔吐などの消化器症状に対しては各種の制酸剤、吐き気止めを使います。食欲不振に対しては食欲増進剤を用いることがあります。活性炭製剤や乳酸菌製剤も症状の改善に有効である場合があります。脱水症状がある場合には点滴が必要です。

・貧血の治療

腎臓はエリスロポイエチンという造血ホルモンをつくっている臓器です。そのため腎臓病が進行すると貧血がおこってきます。腎臓病による貧血に対しては鉄剤とホルモン剤を用いた治療を行います。当院では作用時間が長く1~2週に1回の投与で済むダルベポイエチンアルファを主に使用しいています。

・活性化ビタミンD療法

犬では活性型のビタミンD製剤(医薬品)を使用することで腎臓病の進行を遅らせることが期待できます。ただし、副作用のリスクは大きいため厳密な管理が必要です。

・再生医療

 近年、幹細胞を用いた再生医療が獣医学領域でも行われ始めています。当院では「動物再生医療技術研究組合」と連携し、慢性腎臓病の再生医療にも取り組んでいます(猫のみ)。

【予防】

慢性腎臓病の予防方法は現在のところ確立していません。そのため、可能な限り早期に発見し、進行する前に治療を始めることが何よりも重要です。当院では早期発見が可能とされる腎臓マーカー(SDMA)を活用した健康診断をご用意しています。

猫の下部尿路疾患(FLUTD)

猫ちゃんの泌尿器疾患として最も多いのが下部尿路疾患(FLUTD)です。FLUTDとは膀胱や尿道の結石、細菌性膀胱炎、結石や細菌感染のない特発性膀胱炎を含む包括的な概念です。

【症状】

頻尿、血尿、排尿困難(トイレに長時間座っている)、異所性排尿(トイレ以外の場所での排尿)などの症状を示すことが特徴です。いずれの疾患も尿道の閉塞を起こす可能性があり、完全におしっこが出なくなると数日で死に至る可能性もあるため、注意が必要です。

【診断】

特徴的な症状からFLUTDを疑います。結石症の診断にはレントゲンや超音波などの画像検査を行います。また、結石の種類を推定するために尿検査も重要です。細菌性膀胱炎の診断には尿検査・尿細菌培養検査が必要です。尿道の閉塞が疑われる場合には血液検査や尿道カテーテル処置を行います。

【治療と予防】

・膀胱結石

 主要な結石の種類として、ストラバイト結石と、シュウ酸カルシウム結石があります。ストラバイト結石の場合は食餌療法食や内服薬によって溶解を試みます。シュウ酸カルシウム結石は内科的に溶解できないため、手術による摘出が必要なケースが多いです。治療後の再発を防止するためには食餌療法が重要になります。

・細菌性膀胱炎

 抗生物質によって治療します。有効な抗生物質の種類を調べるために細菌培養・感受性試験という検査が必要になることがあります。また、細菌性膀胱炎を起こしやすい基礎疾患(慢性腎臓病など)がないかも確認します。

・特発性膀胱炎

 急性期には鎮痛薬や止血剤を使用します。自然治癒することもありますが、明確な原因がわからないことが多く、再発率が極めて高い疾患です。再発を予防するためには、食餌療法食、水分摂取をうながす、ストレスの軽減、肥満している場合にはダイエットをするなど、複数の対策を組み合わせて対応します。特発性膀胱炎にはストレスが関わっていることが指摘されているため、ご自宅の生活環境について詳細な聞き取りを行い、動物行動学的な観点から環境改善のアドバイスをいたします。

・尿道閉塞

 尿道がつまって尿が出ない状態の場合、緊急治療が必要です。カテーテルを通して閉塞した尿道を開通させる処置を行います。閉塞による急性腎障害を起こしている場合は入院下での点滴治療が必要になることがあります。

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